乳幼児の育児・保育に関わる方や、子供向けの製品・サービスを開発している事業者を対象に、「子供を事故から守る環境づくりとは?」というテーマで2024年3月14日にオンラインセミナーを開催しました。
講師に子供の事故予防の専門家である東京工業大学工学院 機械系教授の西田佳史氏と、ゲストに安心・安全なデザイン開発の研究に携わっている公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会(JIDA )理事の中原俊三郎氏をお招きしました。司会者の石原あいみ氏と一緒に、子供の事故予防への考え方や実践できる方法、また、子供にとって安心・安全な製品開発へのヒントを知ることができる内容となっています。
下記よりオンラインセミナーの動画を見ることができますので、ぜひご視聴ください。
日時 | 2024年3月14日(木)14時~15時 | |
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プログラム |
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講師
西田佳史氏
東京工業大学工学院 機械系教授/産業技術総合研究所 人工知能研究センター 招聘研究員 子供の事故予防の専門家。研究機関、行政機関、事業者などと連携し、子供の生活支援・傷害予防などの社会課題に対し、行動変容を生み出す技術の開発を進めている。
ゲスト
中原俊三郎氏
公益社団法人日本インダストリアルデザイン協会(JIDA )理事
武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科研究室 教授
JIDAでは、様々な社会課題に対し、特に子供の安全・安心、高齢者の傷害予防などのテーマを中心に、快適性を見据えた具体的なデザイン開発の研究を行っている。
司会
石原あいみ氏
フリーアナウンサー
自身も7歳男児の育児に奮闘中。
「こどもセーフティセミナー」の内容や見どころのポイントを紹介します。
乳幼児の重症事故でもっとも多い「転落」事故について、科学的な分析結果をもとにした事故予防の提言を西田佳史氏が解説。
「子供がよじ登れる高さ」「よじ登った家具を引っ張る力」といった調査や実験データをもとに、どういった対策が事故予防に効果的なのか具体的に知ることができます。
セーフティ・レビュー事業の提言については、こちらからご覧いただけます。
「キッズデザイン」というコンセプトのもと、デザインの観点から子供にとって安全な製品開発を行うためのヒントを紹介。
具体的な製品開発の事例を複数紹介し、実際に起こっている子供の事故から、お二人がどのように安心・安全な製品デザインにつなげていったかを知ることができます。
事前に視聴者から寄せられた質問について、西田佳史氏が回答しました。
参加者から寄せられた質問と回答は以下のとおりです。
環境を把握するときに、日常で気をつけるポイントはありますか?
大きな事故は突然起きるものではなく、転倒などのヒヤリ・ハットが日々繰り返し起きています。そうした出来事をよく観察し、どういった事故が起こり得るのかを考え、予測して対策することが大事です。例えば子供が転倒した近くに角があったらどうなるかを考えると、クッションを付けるといった対策につながります。
そのときに役に立つのが、データを見ることです。「子どものからだ図鑑」やこども家庭庁、日本スポーツ振興センターなどでも子供に起きている事故について紹介しています。どんな事故が自分とよく似た環境で起きているか、を見ることが大切です。
子供のチャレンジと事故予防対策のバランスをどうしたらいいですか?
一般的に、子供の環境を安全にすると、子供のチャレンジ精神が失われると考えられています。しかし、実は逆で、子供にとって安全な環境をつくることで、子供は思い切りチャレンジすることができます。安全対策をしないままにしておくと、あれはだめ、これもだめ、と言わざるを得ないので、チャレンジ精神がかえって育まれません。バランスをとるためにも事故予防の対策を進めることが大事です。
おもちゃなどのデザイン・設計の段階において、事故を回避する方法はありますか?
日本の安全基準を満たしていない海外製のおもちゃなどが簡単に手に入りやすくなっています。日本には「ST」という基準があるため、これを満たしている製品を選ぶことが大事です。
製品のデザインについても、誤飲や指挟みなどをしないための安全基準があり、子供の製品に関わる人以外の人も知ることで、大人が使う製品でもデザインを考えていくことが大事です。
製品を利用する側(保護者など)に安全意識を持続してもらうために、製品に取り入れられる方法や手法があれば知りたいです。
注意喚起や注意表示といった対策は伝わりづらいため、まずは安全性に配慮した製品デザインを考えていくことが大事です。
保護者側でも「何が事故予防の対策法としてあるのか」を知ることで、子供から目を離しても大丈夫なように環境をつくり変えていくことが大事です。
高額なものを購入して対策することが難しい中で、すぐにできる対策はありますか?
例えば、子供の事故を予防するためのクッションや、窓からの転落事故を防ぐための補助錠などは低価格で購入できます。「ウチの子は大丈夫」などの理由で対策をしないのではなく、ぜひ子供の事故予防への対策をしてください。
東京都こどもセーフティプロジェクトでは、セミナーでも紹介した「危ないところを変える」という考え方にもとづいて、子供の事故予防に向けて具体的で役立つ情報を発信していきます。
詳しい情報が知りたい場合は、こちらをご覧ください。