知っていましたか?
子供が転ぶまでの時間はたった0.5秒。
保護者がずっと見守っていたとしても、あっという間に起こる転倒を防ぐことは難しいでしょう。子供を不慮の事故から守るためには、安心して元気いっぱいに過ごせる「環境づくり」が大切です。
そこで、東京都では関係各局が連携して新たに取り組む「東京都こどもセーフティプロジェクト」を通して、子供が事故から守られ、思い切りチャレンジできる環境づくりを推進していきます。
子供が成長に応じて様々なことに好奇心を持ち、思い切りチャレンジできるように、事故が起きにくい環境をつくることが、このプロジェクトのミッションです。
東京都において、0歳から5歳までの乳幼児が日常生活のケガや事故で救急搬送される件数は、毎年8千件以上(※)。その発生件数は長年変化していません。事故の種別ごとに見ても、「転ぶ」「落ちる」「ものがつまる」が常に上位にあり、その件数は例年ほとんど変化していません。さらに、近年では「ベランダや窓からの転落」や「車内の置き去り」など、痛ましい子供の事故が起きています。
(※)参考:東京消防庁「救急搬送データから見る日常生活事故の実態」令和3年度版 P27
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/nichijou/kkhdata/data/r3all.pdf
これまで、子供のケガや事故の対策は、保護者等による見守りを中心に考えられてきました。
しかし、子供の事故予防を長年研究している機関が実験やデータ分析を行ったところ、子供が転倒するまでの時間は、ほんの0.5秒程度だと分かりました。
これでは、もし、子供の転倒に気がついて手を差し出したとしても、間に合わない可能性が高いでしょう。
近年の報道などで見かけるベランダ等からの転落に関連して、次のような調査結果が出ています。4〜5歳の子供がベランダの柵によじ登ってしまう時間は10秒前後。ちょっとした家事の合間や目を離した隙に事故は発生してしまいます。
子供から目を離さず見守っていても、事故を防ぐことは難しいのです。
東京都ではこうした現状や調査結果を踏まえ、子供の見守りを中心とした事故予防の考え方に加えて、子供の成長や行動に合わせた「危ないところを変える」という環境づくりの考え方にも基軸を置き、子供の事故を減らす取り組みを行っていきます。
東京都では子供の笑顔あふれる社会の実現に向けて「チルドレンファースト」の理念のもと、”「目を離さない」の前にできること”を合言葉に、子供に関わる全ての人と一緒に、このプロジェクトを推進していきます。
プロジェクトの中心となる子供政策連携室では、社会全体で事故予防に取り組む仕組みをつくっていくため、次の3つの事業を進めています。
子供の事故事例データを収集・分析するとともに、AI等の最新技術により子供の行動特性について解析を行うなど、科学的な手法に基づいて、効果的な予防策を検討・開発していきます。
そして、開発した事故予防策を提言としてまとめ、Webサイトやセミナー等を通じて皆さんへ発信していきます。
福祉、消防、教育等の各分野における、子供の事故予防の広報を取りまとめ、子供目線や専門家の視点を加えたデジタルハンドブックを制作します。ハンドブックは、乳幼児・小学校低学年・小学校高学年・中高生の4つの区分ごとに制作し、各年齢区分に特徴的な事故事例とその予防策について分かりやすく紹介します。
子供に関わる全ての人が利活用できるように、子供の事故情報を集約したデータベースを構築します。幅広い子供の事故情報がデータベースに反映できるよう、関係機関と連携を図りながら、取り組みを進めています。
子供を取り巻く環境を変えるためには、注意喚起の呼びかけだけでなく、事故予防のサイクルを実践することが重要です。
<事故予防のサイクル>
①子供の事故原因を分析する
②事故の予防策を考える
③予防策を実践し、効果を測定する
④結果をまた予防策に反映する
こうした一連の取り組みは、保護者の皆さんはもちろんのこと、大学・研究機関や民間事業者の方のご協力が不可欠です。
東京都は、産官学民で連携しながら、エビデンスに基づいた事故予防策を展開し、子供にとって安全な環境づくりを進めていきます。
東京都こどもセーフティプロジェクトは、子供政策連携室をはじめとした関係各局がそれぞれの役割を果たしながら、チームの一員として連携し、子供を事故から守る環境づくりに取り組んでいることも特徴の一つです。
「子育て支援・教育」「救急」「消費者安全・製品」「住まい」「交通」「インフラ・まちづくり」といった、様々な役割を持つ部署が一緒になって取り組むことで、さらに強力にプロジェクトを推し進めていきます。
子育て支援・教育
救急
消費者安全・製品
住まい
交通