東京都では、令和7年3月に、子供向けの製品・サービスの開発・改良を行う事業者や研究者の方などにも役立つ、子供の事故情報を集約した「子供の事故情報データベース」を開設しました。
これは、学校や保育施設での事故、製品による事故など、さまざまな場面で起こり得る子供の事故に関する情報を一元的に集約したオープンデータベースです。また、事故情報だけでなく、Webニュースや学術論文など、関連する情報の検索・閲覧を1つのサイト上で行うことができるのが大きな特徴です。
ぜひ、このデータベースの情報を、子供向けの製品・サービスの開発・改良に活用していただきたいと考えています。
データベースの主な機能は、次の3つです。
ここからは、使い方について説明します。
「事故情報を見る」では、事故に関する統計情報等をグラフ形式でまとめています。各グラフは目的に応じて条件を絞り込むことが可能です。
例えば、製品評価技術基盤機構(NITE)の「製品事故の発生状況」を選択すると、「商品分類ごとの事故発生種別の内訳」や品目・品名ごとの事故情報などが表示されます。
また、下図のように「詳細」ボタンにカーソルを合わせると、事故の発生日や事故原因、被害の種類、どのような再発防止措置を取ったのかなど、その事故に関する詳しい情報を見ることができます。
「事故情報を探す」では、事故の種別や発生状況など検索条件を入力して知りたい情報を探すことができます。例えば、今年登録された「男の子の負傷事例」を検索する場合、以下のように設定します。
Ⓐ 性別:[男]にチェック
Ⓑ 情報が登録された年月日:始期に[2025/01/01]を選択
Ⓒ 重傷度:[負傷]にチェック
こうして表示された事例から、どのような場所や条件、原因で、どのような事故の危険があるのかがわかり、製品の開発や改良を進める上で留意すべきポイントが明確になります。
「ニュース・論文を探す」では、取得したい情報に関するキーワードを入力し、区分(ニュースか論文か)と情報取得日を入力すると、関連するニュース記事や論文が表示されます。例えば、「事故」「校庭」など、複数のキーワードで検索した場合、全ての条件に一致するデータを表示します。
どのような場合に事故が起こり得るのか、ニュース記事や専門的な論文によって多角的に知ることで、より安全性の高い製品づくりにつながると考えられます。
詳しくは「利用マニュアル」をご確認ください。
このほか、Webニュースのリンク提供元として38サイト、学術論文等のリンク提供元として7サイトと連携しています。
事業者の方は、ぜひこのデータベースを子供のための安全な製品の開発などにお役立てください。また、データベースを使う中でお気づきの点があれば、下記のページからご意見をお寄せください。
東京科学大学 工学院機械系 教授
西田佳史先生
今回、東京都が作成した「子供の事故情報データベース」は、各機関のサイト等で、ばらばらに公開されていたデータベースが統合されたものです。これまでは、過去の事故事例を検索する際に、複数のデータベースにアクセスして、その都度キーワードを入力するなど、とても手間のかかる作業が必要でしたが、今回公開されたデータベースでは、一度に検索を行うことができます。製品・サービスの安全性を検討する際に、実際の事故状況を把握し、リスクアセスメントすることが不可欠ですが、「子供の事故情報データベース」を活用することで、概況を視覚的にとらえたり、具体的な事例を細かく調べたりすることがとても簡単になりました。ぜひ、事業者の皆さんにご活用いただきたいと思います。
専門家プロフィール
西田佳史先生
工学者・東京科学大学 工学院機械系 教授。人工知能やビッグデータ等を活用して人の行動や心身機能を計測し、子供や高齢者が安全な生活を継続するための技術を研究。子供の事故予防についても長年にわたって取り組んでいる。
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