毎日の生活の中で、子どもの安全について気になることや、心配になる瞬間はありませんか?
「最近すごく暑いから、子どもの熱中症が心配」「子どもが学校でケガをして帰ってきた。今後はどんなことに注意させたらいいの?」……子育てをしていると、子どもが、いつ、どんな事故に遭うかわからない、という不安は常に付きまとうものです。
東京都では、令和7年3月に、子どもの事故に関する情報を集めた「子供の事故情報データベース」を開設しました。
これは、学校や保育施設での事故、製品による事故など、さまざまな場面で起こる子どもの事故についての情報を1つにまとめたオープンデータベースです。事故情報だけでなく、Webニュースや学術論文など、関連する情報の検索・閲覧を1つのサイト上で行うことができるのが大きな特徴です。
さまざまな事故から子どもを守るために、ぜひ、このデータベースをお役立てください。
データベースの主な機能は、次の3つです。
このほか、日常生活におけるヒヤリ・ハット情報も掲載しています。
ここからは、実際の使い方について見ていきましょう。
例えば、「子どもの熱中症について知りたい」という場合は、次の手順でデータベースをご活用いただけます。
「事故情報を見る」では、事故に関する統計情報などをグラフ形式でまとめています。各グラフは知りたいことに応じて条件を絞り込むことができます。
熱中症について知りたい場合は、「学校等における事故の発生状況」が役立ちます。
① 右側ツールバーの「死亡障害種別」をクリック
② 「すべて」のチェックをクリックして、一度すべての項目からチェックを外す
③ 「熱中症」にチェックを入れる
すると画面が切り替わり、下段の「事故詳細」の欄に熱中症の事例が複数表示されます。
また、ツールバーの「事故発生シーン」で「学校行事」や「課外指導」などの条件をチェックすると、さらに事例を絞り込むことができます。
「事故情報を探す」では、事故の種別や事故にあった子どもの年齢・性別などの検索条件を入力して知りたい情報を探すことができます。例えば、部活動中の熱中症について調べたい場合は次のように設定し、検索します。
① キーワードに「部活動」と入力
② 事故種別の「熱中症」にチェック
③ 年齢の「13〜15歳」にチェック
④ 「検索」をクリック
表示された事例から、部活動中の熱中症が、どのような場所や条件、原因で起こるのかがわかります。
「ニュース・論文を探す」では、知りたい情報のキーワードを入力して、関連するニュース記事や論文を検索できます。ニュースは、複数のWebニュースサイトに掲載されている記事を一元的に検索することが可能です。
キーワードに「熱中症」と入れ、区分で「ニュース」を選択し、検索をクリックすると、条件に一致する記事のリンクが表示されます。
ニュース記事のタイムリーな情報から、最近の動向を知ることができます。
詳しい使い方は「利用マニュアル」をご確認ください。
このほか、Webニュースのリンク提供元として38サイト、学術論文などのリンク提供元として7サイトと連携しています。
保護者の皆さまには、ぜひこのデータベースをご活用いただき、子どもの事故予防のためにお役立ていただければ幸いです。また、データベースを使う中で、「もっとこうだったら使いやすいのに」や「こういう情報がほしい」など、お気づきの点があれば、下記のページからご意見をお寄せください。
東京科学大学 工学院機械系 教授
西田佳史先生
子どもの重傷事故を減らす上で重要なのは、過去にどんな事故が起こっているかを知ることです。でも、実際には、事故の情報を調べることはなかなか面倒ではないでしょうか?ある自治体で、過去の事故データを活用したことがあるかを調査したところ、6割の人が事故データの活用が大事だと思っているにもかかわらず、9割の人が実際には調べたことがないと回答していました。この背景の一つには、データを調べる作業に大変な労力を要することが挙げられると思っています。
今回公開された「子供の事故情報データベース」では、情報を一度に検索することができます。実際の事故状況を把握し、リスクアセスメントを行う上で、本データベースを活用することで、概況を視覚的にとらえたり、具体的な事例を細かく調べたりすることがとても簡単になりました。ぜひ、保護者の皆さま、育児に携わっている方々に、ご活用いただきたいと思っています。
専門家プロフィール
西田佳史先生
工学者・東京科学大学 工学院機械系 教授。人工知能やビッグデータ等を活用して人の行動や心身機能を計測し、子供や高齢者が安全な生活を継続するための技術を研究。子供の事故予防についても長年にわたって取り組んでいる。
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