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ミニトマトやブドウは4等分に

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子育て中のヒヤリ・ハットから学ぶ、誤飲・窒息の予防策とは?

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子供の安全は、すべての保護者にとって最優先事項です。しかし、東京消防庁管内では、令和4年までの過去5年間に、5千人以上の子供が「窒息」や「誤飲」で救急搬送され、事故の9割以上が住まいの中で起きています。

東京都では、日常生活に埋もれている「ヒヤリとしたり、ハッとした体験」についての調査を行っています。 1件の重大な事故の陰には、事故に至らなかったヒヤリ・ハットが300件潜んでいるといわれます。

そこで、保護者が経験したヒヤリ・ハットの事例とともに、誤飲・窒息を未然に防ぐための具体的で実践的なアドバイスを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

「誤飲」でヒヤリ・ハット、危険なものに近づけない対策を

誤飲で気をつけたいこと

小さい子供は、目に見えるさまざまなものに興味をもちます。生後5か月頃からは、興味のあるものを手でつかみ、口に入れるようになります。トイレットペーパーの芯を通るサイズ(39mm)のものは、乳幼児が口に入れて飲み込む危険性があるため、特に要注意です。

子供の誤飲は、シールやビー玉などの玩具類のほか、紙やビニール袋、ペットボトルのふたといった身の回りの製品でも多く起きています。

シールに食べ物のイラストが描いてあり、娘が食べてしまった。(1歳・女児)

遊んでいた時、ビー玉がない事に気づき、まさかと思ってみたら、口の中にあった。(3歳・男児)

絵本のページを破って飲み込んでいた。絵本のページが欠けているのに気がついて、口の中に破片が残っていた。(0歳・男児)

おもちゃなどは対象年齢を確認し、使ったあとはそのままにしないで片付ける、または手の届かないところに移動させましょう。

捨てるためにビニール袋に入れておいたボタン電池を口に入れてしまった。(2歳・女児)

うっかり手の届くところに置いておいた、大人の風邪薬を飲み込んでしまった。(1歳・男児)

子供にとって危険な大人用の医薬品や電池類、化粧品、たばこなどは、普段は気をつけていても一時的に置きっぱなしにしがちです。口に入れないように日頃から伝えることも大切ですが、子供が触れない環境をつくることはさらに重要です。

ベビーゲートやベビーサークルを使い、子供が危険なものに近づけない工夫をしたり、鍵やチャイルドロックを取り付けた引き出しなどに普段から収納するように心がけましょう。

「窒息」のヒヤリ・ハット、食品を小さく切って予防を

窒息は日常で起こる

乳幼児が口の中にものや食品を入れる際、常に「窒息」の危険について認識しておくことが大切です。乳幼児は気管に入りそうになるのを咳で押し返す機能が未発達だからです。

食べ物を丸呑みしたり、大泣きした後、大きく息を吸い込んで、口の中にある食物片が気道に吸い込まれて窒息するケースもあります。

パンを少しづつ食べられるようになり、大きな塊をそのまま口へ入れてしまい、喉につっかえて泣き出した。背中を叩いて取り出した。(1歳・男児)

乳幼児に食品を与える際は、無理なく食べられるように小さく切り、飲み込むまで目を離さないようにしましょう。

ミニトマトやブドウなど、丸くてつるっとした食品も、そのまま口に入れるのは危険です。4等分に切って与えるようにしましょう。

豆類が詰まったので背中を叩いて吐き出させた。(1歳)

節分の豆まきなどで使用する硬い大豆や、ナッツ類は子供にとって窒息や、食品などが気管に入る誤えんのリスクがあります。小さく砕いても、気管に入ると肺炎や気管支炎の原因になり危険です。

5歳以下の子供には、硬い豆やナッツ類は与えないようにしましょう。

山中龍宏先生

緑園こどもクリニック 院長

山中龍宏先生(小児科医)

誤飲したり、窒息すると危険なものを知っておきましょう。
飲み込むことで、内臓を傷つけたり、気管がふさがって息ができなくなることがあります。
<特に危険なもの>
誤飲:コイン型リチウム電池、ネオジム磁石、高吸水性樹脂製品
窒息:ミニトマト、大粒のぶどう、ウズラの卵、みたらし団子、白玉団子、乾燥した豆類

誤飲・窒息が起きてしまったら

のどに詰まったら、まずは吐き出させることが最優先です。もし子供の反応がなければ、すぐに119番に連絡しましょう。

吐き出させるための応急手当については、以下をご覧ください。

東京消防庁では、窒息が起きたときの応急手当について動画で紹介しています。

知ろう!!日常に潜む危険!!【乳幼児編・応急手当】

参考資料

専門家プロフィール

山中龍宏先生
小児科医・緑園こどもクリニック 院長。プールの排水口に吸い込まれた中学2年生女児を看取ったことをきっかけに、38年にわたって子供の事故予防に取り組む。2014年より特定非営利活動法人 Safe Kids Japanを設立。理事長を務める。

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