0~1歳の事故は、外出時などの特別な活動よりも、自宅や保育施設などの日常的に過ごす環境の中で起きやすい傾向があります。事故の傾向を知り、毎日の行動や家具の置き場所などの環境を変えることで、事故の発生を防ぎましょう。この記事では、事故の傾向や事例から、事故を予防するためのポイントを解説します。
まず、ここでは0~1歳で起こりやすい事故の傾向を見ていきましょう。
0~1歳では以下のような事故が起きています。
リビングや寝室、キッチン、車の中など、日常的な場面で多く起きているのが特徴です。
0~1歳は身体の成長が著しく、寝返りやハイハイ、ひとり歩きなど活動が活発になる一方、まだまだ自ら危険を察知して避けたり、受け身を取ったりするのが難しい時期です。
ここでは、0~1歳の子どもに起こりやすい事故とその予防策について見てみましょう。
今回は、特に事故が起きやすい就寝・沐浴・遊びの場面を例に、予防ポイントを紹介します。
【0歳女児の例】
「少しの時間なら大丈夫だと思い大人用ベッドに寝かせたら、寝返りを打ちベッドから落ちた。」

寝返りが可能な子どもは一晩で最大15mも移動する1)ため、対策をせずにベッドなどからの転落を防ぐことは困難です。ベビーベッドなど、寝返りをしても落ちない場所で寝かせましょう。ベビーベッドは「子供PSCマーク」の付いたものを選び、必ず柵を上げて使用しましょう。
やむを得ず大人用ベッドに寝かせる場合は、窒息を防ぐため、ベッドと壁の間に隙間ができないようしっかり密着させ、子どもの周りに枕や毛布、クッションなどを置かないようにしましょう。
また、大人用ベッドに取り付ける乳幼児用ベッドガードは、生後18ヶ月未満の子どもには使用しないでください。マットレスとベッドガードの間に隙間があると、子どもが挟まれて窒息する恐れがあり危険です。生後18ヶ月以上で乳幼児用ベッドガードを使用する場合も、「子供PSCマーク」が付いたものを使用するようにしましょう。
ベッドや布団まわりでの転落事故のうち、大人用ベッドからの転落が最も多いという報告もあります2)。就寝は毎日繰り返されることだからこそ、環境を整えて事故を確実に防ぎましょう。
1) 東京都子供政策連携室, 「科学で探るこどもの事故予防策-睡眠環境における事故‐」, 令和7年3月
2) 東京都生活文化局, ヒヤリ・ハット調査「乳幼児の寝ているときの危険」調査報告書, 平成30年10月
【0歳女児の例】
「浴槽の蓋の上で沐浴中、蓋がずれてベビーバスごと乳児が浴槽内に転落した。」

入浴や沐浴の際は、ベビーバスの使用方法や使用上の注意などを取扱説明書で確認し、正しくセットすることが大切です。また、ベビーバスは、浴室の床や脱衣所など、安定した平らな場所に設置しましょう。
浴槽の蓋の上は、ずれたりたわんだりして転落する恐れがあるほか、浴槽の中に水が張られたままの場合は溺水する恐れもあるため大変危険です。浴槽の縁の上などバランスの悪い不安定な場所での使用も避けましょう。
また、入浴や沐浴の前後に乳児を洗濯機の上に寝かせるのも落下の危険があるため、絶対にやめましょう。
入浴・沐浴に伴う乳児の落下事故は約5年半で78件報告されており、特に生後6ヶ月以下の乳児に集中しています。さらに、入浴・沐浴に伴う乳児の落下事故のうち、重篤なけがを負った事故の約4割は、洗濯機からの落下で起きているという報告もあります3)。
このような事故は、ベビーバスの使用方法の見直しや子どもの寝かせ場所の工夫により、防ぐことができます。
3) 独立行政法人 国民生活センター, 入浴・沐浴に伴う乳児の落下事故に注意!-浴槽の蓋や洗濯機の上には寝かせないで-,令和8年1月26日
【1歳女児の例】
「シールに食べ物のイラストが描いてあり、娘が食べてしまった。」

実際に子どもが誤飲した、または誤飲しそうになった品目では、シールが最も多いという報告があります4)。シール以外にも、紙、シャボン玉液、ビー玉、ブロック・積み木など、子どもの身の回りにある物の誤飲が多く報告されています4)。
食べられないものや口に入れてはいけないものは、子どもの手の届かない場所に置くようにしましょう。1歳児の場合は約90cmの範囲まで手が届くといわれています。例えばテーブルの高さが50cmであれば、手前から約40cmの範囲まで手が届くため、危険なものは台の高さと手の届く範囲を合わせて90cmを超える場所に置きましょう。また、日頃から応急手当の方法や相談先を確認しておくと安心です。
自宅だけでなく、親戚の家や帰省先など、普段と異なる環境にも注意が必要です。親戚のタバコや医薬品などが子どもの手の届くところに置かれていることもあり、誤飲につながりやすくなります。
普段と異なる環境では、子どもの手の届くところに危険がないか一層注意して確認し、子どもが一人でいるときは小さいものを持たせないようにしましょう。
4) 東京都生活文化局, ヒヤリ・ハット調査「誤飲等による乳幼児の危険」調査報告書, 令和3年6月
ここでは、子どもの“あるある事故”を防ぐために知っておきたい情報と制度について紹介します。
子どもの事故は、行動や環境を変えることで効果的に防ぐことができます。これらを基に、今一度対策について検討してみてはいかがでしょうか。
東京都では、子どもの事故に関する情報やWebニュースなどを検索・閲覧できる「子供の事故情報データベース」を公開しています。子どもの事故を未然に防ぐためにも、ぜひ活用してください。
「事故予防チェックカレンダー」では、子どもの生年月を選ぶと、その月齢・年齢で想定される事故の種類や内容を一覧で確認できます。
0歳から小学生に入学する6歳までの子どもが対象であり、0~2ヶ月から1歳までは月齢ごとに、1歳以降は年齢ごとに情報が掲載されています。
月齢や年齢が上がるときや、入園・入学などの環境が変化するタイミングに確認することで、想定される事故の予防につながるでしょう。
「ヒヤリ・ハット情報」では、食品や製品、保育現場など、日常生活における“ヒヤリ・ハット”とした事故の事例を紹介しています。
実際にどのようなものにより、どのような状況で事故が起きたのかが詳細に載っているため、起こりうる事故を未然に防ぐことができます。気になる製品があるときや、保育施設での事例を知りたいときなど、シーンを絞って調べてみるのもおすすめです。
特に、「ヒヤリ・ハットレポート(事故防止ガイド)」は、事故が起きた状況がイラストと共に分かりやすく紹介されているため、危険予測に役立つでしょう。
「事故情報を探す」では、キーワード検索やAI検索によって、知りたい事故情報を探すことができます。
年齢や事故の種別、重傷度も調べられるため、お子さんの状況に合わせた情報を検索することができます。また、AI検索では入力した文章をAIが解釈し、関連度の高い情報を表示してくれます。
実際にどのような事故が起き、どのような経過をたどったかが記載されているので、万が一、事故が起こってしまった場合の参考にもなるでしょう。
その他、「子供の事故情報データベース」の詳しい使い方については、以下のガイドブックをご覧ください。
「PSCマーク」とは、国が定める安全基準を満たす製品であることを示すマークです。
令和7年12月25日より「乳幼児用玩具(3歳未満向けおもちゃ)」及び「乳幼児用ベッド(ベビーベッド)」を対象に、子ども、特に乳幼児の製品事故を防止することを目的として「子供PSCマーク」の表示が義務づけられました。さらに、令和8年7月8日からは、「乳幼児用ベッドガード(ベッドガード)」及び「ベビーカー」が対象製品に加わりました。
「子供PSCマーク」には○型と◇型の2種類があり、分け方は以下の通りです。
| 区分 | 特定製品かつ子供用特定製品 | 特別特定製品かつ子供用特定製品 |
| マーク | ![]() | ![]() |
| 対象 | 乳幼児用玩具(3歳未満向けおもちゃ) 乳幼児用ベッドガード(ベッドガード) ベビーカー | 乳幼児用ベッド(ベビーベッド) |
3歳未満向けのおもちゃやベビーベッド、ベッドガード、ベビーカーなどを購入するときは、「子供PSCマーク」が表示されているかを確認するようにしましょう※。
※乳幼児用玩具(3歳未満向けおもちゃ)については、施行日(令和7年12月25日)より前に製造または輸入された製品は規制の対象外となり、販売にあたり「子供PSCマーク(○型)」の表示義務はありません。
乳幼児用ベッド(ベビーベッド)については経過措置期間が設けられており、令和8年3月24日までは「子供PSCマーク(◇型)」ではなく、従前の特別特定製品としての「PSCマーク(◇型)」が表示された状態で販売されている場合があります。
乳幼児用ベッドガード(ベッドガード)には1年、ベビーカーには2年の経過措置期間がそれぞれ設けられており、この期間はマークのない製品も販売されます。
>関連記事│vol.27 乳幼児のおもちゃとベビーベッド選びは「子供PSCマーク」をしっかりチェック!

東京科学大学 工学院機械系 教授
西田佳史先生
今回紹介した0~1歳は、発達がとても早い時期です。寝返り、ハイハイ、つかまり立ち、歩行へと、全身を使った行動は大きく変化します。また、手の使い方も、手を動かす段階から、小さなものをつまむ段階へと変わり、できることが日々増えていきます。
一方で、保護者には家事や仕事など、さまざまな用事があります。子どもをずっと見守り続けることは、現実的には難しいものです。そのため、見守りだけに頼るのではなく、少し目を離したときにも大きなけがにつながらないように、子どもの発達を少し先回りして、環境を整えておくことが大切です。
子ども向け製品の安全基準の対象は広がっており、3歳未満向けのおもちゃやベビーベッドに加え、令和8年7月8日からはベッドガードやベビーカーについても「子供PSCマーク」の表示が始まっています。安全な製品を選ぶ際には、こうした表示も確認して活用しましょう。
子どもがいろいろなことを試してみることは、発達に欠かせません。だからこそ、探索行動を止めるだけではなく、環境を整えることで、子どもたちが安全に発達できる場をつくっていきましょう。
専門家プロフィール
西田佳史先生
工学者・東京科学大学 工学院機械系 教授。センサ技術やデータサイエンス等を活用して人の行動や心身機能を計測し、子どもや高齢者が安全な生活を送れるようにするための技術を研究。子どもの事故による傷害予防についても長年にわたって取り組んでいる。
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