1~3歳の子供は、1歳で歩き始め、2~3歳では走る・よじ登るなど、日々「できること」が増えていく時期です。行動の幅が広がる一方で、それに伴う事故も起こりやすくなります。事故の傾向を知り、家具の配置や身の回りの環境を見直すことで、事故の発生を防ぎましょう。この記事では、事故の傾向や事例から、事故を予防するためのポイントを解説します。
まず、ここでは1~3歳で起こりやすい事故の傾向を見ていきましょう。
1~3歳では、以下のような事故が起きています。
1~3歳は、歩く、走る、登る、開けるといった行動の幅が急速に広がる時期です。「自分でやりたい」という好奇心が高まることで、昨日までできなかったことが今日突然できるようになるなど、大人の想像を超えた動きが思わぬ事故につながることも少なくありません。
だからこそ、「まだできないだろう」ではなく「もうできるかもしれない」と考え、子供の成長を少し先回りした対策を行うことが大切です。
ここでは、1~3歳の子供に起こりやすい事故とその予防策について見てみましょう。
今回は、特に事故が起きやすい歩き始めの時期・家具へのよじ登り・キッチン周りの場面を例に、予防ポイントを紹介します。
【1歳女児の例】
「歩き始めで勝手に階段を下りて行こうとして、階段の一番上から転がり落ちた。」

歩き始めの時期の子供は、大人が思っている以上に速く、自由に動き回ります。子供の転落は一瞬で起こるため、大人がそばにいても間に合わないことがあります。
階段のある住まいでは、階段の上にも下にもベビーゲートを正しく取り付け、常に閉めてロックをかけましょう。階段は下りるときだけでなく、上る途中でバランスを崩して転落する事故もあるため、上下両方に設置することが大切です。
来客時や荷物の運び入れなど、ゲートを開けたままにしがちな場面では特に注意してください。また、階段の周りに危険なものや、踏み台になるようなものを置かないようにしましょう。
設置したベビーゲートは、取り付けのゆるみやぐらつきがないか定期的に確認することが大切です。また、ベビーゲートには対象年齢(24か月まで)が定められているため、年齢の目安を守って使用しましょう。
また、令和6年に救急搬送された乳幼児のうち、1歳児では「ころぶ」事故に次いで「落ちる」事故が多く、その「落ちる」事故の中では、階段からの転落が最も多いと報告されています1)。
階段は毎日使う場所だからこそ、ベビーゲートを設置し確実に閉めることを習慣化して、事故を防ぎましょう。
1) 東京消防庁,「救急搬送データからみる日常生活の事故(令和6年)」,令和7年12月更新
【2歳男児の例】
「窓を少し開けていたところ、子供が家具を伝って出窓によじ登り、窓を全開にしていた。マンションのため、転落していれば重大な事故につながる可能性があり、ヒヤリとした。」

2歳頃になると、家具によじ登ったり、鍵を開けたりと、少し前まではできなかった行動が次々とできるようになります2)。
子供が勝手に窓を開けないよう、窓や網戸には、子供の手の届かない位置に補助錠を付けましょう。特に網戸は、小さな子供の力でも簡単に開いたり、突き破ったりしてしまうことがあります。それを防ぐためにも、窓の施錠を徹底してください。
あわせて、鍵が壊れていないか、網戸が外れやすくなっていないか、網が剥がれそうになっていないかなど、定期的に点検することも大切です。また、窓の近くには、イスやソファ、テーブル、本棚といった足場になるようなものを置かないようにしましょう。
5歳以下の子供が住宅等の窓やベランダから墜落した事故の発生階を見ると、2階からの墜落でも中等症(生命の危険はないが入院を要するもの)以上と診断される事故が多く発生していることがわかっています3)。また、5月や10月は気候が穏やかで窓を開ける機会が増えるため、転落事故が多くなる傾向があります。
こういった事故は、補助錠の取り付けや家具の配置の工夫により防ぐことができます。低層階だからと油断せず、対策を徹底しましょう。
2) 東京都 令和5年度 セーフティ・レビュー事業,「報告書~都内における転落事故の実態と想定される事故予防策に関する提言~」,令和6年3月
3) 東京消防庁,「こどもが住宅等の窓・ベランダから墜落する事故に注意!」,令和8年4月更新
【2歳男児の例】
「炊飯中に出てきた蒸気が面白かったらしく、触ろうと手を伸ばしてやけどしそうになった。」
【3歳男児の例】
「炊飯器のふたを開けてしまい、蒸気が熱くてやけどしそうになった。」

炊飯器から出る蒸気は100℃近くの高温であるため、数秒触れただけでもやけどを負う恐れがあります。乳幼児は大人よりも皮膚が薄く、やけどのダメージが皮膚の奥深くまで及んで重症化しやすいため、特に注意が必要です。
炊飯器は、子供の手が届かない場所で使用しましょう。ベビーゲートなどを利用して、使用する場所に子供が近づかないようにするのも有効です。また、炊飯中にふたが開かないチャイルドロック機能のある製品を選ぶと、より安心です。
キッチン周りには、炊飯器の他にも電気ケトルや電気ポットなど、やけどの恐れがあるものが多くあります。電気ケトルや電気ポットには、転倒したときに湯がこぼれにくい(転倒流水防止)構造の製品もあります。製品の選び方や置き場所を工夫して、事故を防ぎましょう。
「事故予防チェックカレンダー」では、子供の生年月を選ぶと、その月齢・年齢で想定される事故の種類や内容を一覧で確認できます。
0歳から小学生に入学する6歳までの子供が対象であり、0~2ヶ月から1歳までは月齢ごとに、1歳以降は年齢ごとに情報が掲載されています。
月齢や年齢が上がるときや、入園・入学などの環境が変化するタイミングに確認することで、想定される事故の予防につながるでしょう。
子供の“あるある事故”を防ぐためには、事故の傾向を知り、対策を行うことが大切です。
東京都では、子供の事故に関する情報やWebニュースなどを検索・閲覧できる「子供の事故情報データベース」を公開しています。
ここからは、「子供の事故情報データベース」で使える機能について紹介します。子供の事故を未然に防ぐためにも、ぜひ活用してください。
「ヒヤリ・ハット情報」では、食品や製品、保育現場など、日常生活における“ヒヤリ・ハット”とした事故の事例を紹介しています。
実際にどのようなものにより、どのような状況で事故が起きたのかが詳細に載っているため、起こりうる事故を未然に防ぐことができます。気になる製品があるときや、保育施設での事例を知りたいときなど、シーンを絞って調べてみるのもおすすめです。
特に、「ヒヤリ・ハットレポート(事故防止ガイド)」は、事故が起きた状況がイラストと共に分かりやすく紹介されているため、危険予測に役立つでしょう。
「事故情報を探す」では、キーワード検索やAI検索によって、知りたい事故情報を探すことができます。
年齢や事故の種別、重傷度も調べられるため、お子さんの状況に合わせた情報を検索することができます。また、AI検索では入力した文章をAIが解釈し、関連度の高い情報を表示してくれます。
その他、「子供の事故情報データベース」の詳しい使い方については、以下のガイドブックをご覧ください。

小児科専門医
山中龍宏先生
乳幼児期の子供は、昨日できなかったことが、今日できるようになります。行動範囲が広がると危険なことも増えていきます。歩けるようになれば転び、登れるようになれば転落します。
東京消防庁の救急搬送データを見ると、毎年、同じ年齢の子供に同じ事故が起こっています。救急車を呼んだり、病院にかかるような事故を防ぐためには、何ヶ月になったら、あるいは何歳になったら、どのような事故が起こりやすいかを知ること、そして、子供の安全に配慮された製品を使用し、少しの時間、子供から目を離してもいい環境を作ることが大切です。
専門家プロフィール
山中龍宏先生
小児科専門医。プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取ったことをきっかけに、約40年にわたって子供の事故予防に取り組む。2014年にNPO法人Safe Kids Japanを設立し、現在、顧問を務める。
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